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音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

セミナースケジュールはこちらです。 山本美芽オフィシャルサイト

毎日同じようなことを繰り返す生活って退屈?

ライター日誌

アメリカに来てから痛感したことですが、東京にいて音楽ライターをしているというのは、毎日ほどよく変化があるという面では非常に恵まれた仕事であったということです。

取材する相手は毎回違いますし、毎月書くCDレビューで聴くCDも同じアーティストがめぐってくるまでにかなり時間がかかります。ライブの取材、講習会やイベントの取材もそうで、同じようなものがあるとしてもせいぜい毎年1回とか。

もちろん、頭に新しい音楽をインプットするのが追いつかなくてつらい〜ああ〜間に合わない〜といった苦しみはありましたが、少なくとも変化が足りなくて退屈することはありませんでした。

そもそも取材先で降りる駅の場所も、もちろんよく行く場所はありますが、十数か所に散らばっていたので、そういう意味でも変化がありました。

これがアメリカに来てからは、非常に変化のない毎日になっています。毎日娘の学校の送り迎えに、フィットネスクラブや図書館、買い物ぐらいしか行き場所がない。見る景色が同じようなものばかり。ときどき土日や、そして長期休暇に旅行に行くときに見る景色が、どれほど新鮮なことか。

最近は英語のテレビが結構見られるようになってきたので、テレビの中のいろんな景色を見て、ニューヨークに行った気分になったりして…まあ、さすがに慣れてきたというかあきらめがついてきたというか、そんなところなんですが。

でもふと考えてみると、ライターのときが特別に恵まれていたのであって、普通に会社に行って仕事をしていたり、学校に通っていたり、主婦をしていたり、そういう場合は、いつも同じ場所をいったりきたりして変化のない毎日という場合のほうが圧倒的に多いですよね。外回りの仕事をしていたり、出張が多い仕事をしている場合は、別なのでしょうけれども。

そういえば取材でミュージシャンの方々も、全国各地や外国で演奏をしたりレコーディングをしたりと、すごくいろんな景色を見ているようなイメージを持っていましたけれど、実際はちょっと違いました。

 確かに行く場所の範囲は広いのでしょうが、案外スタジオと家の往復で地味な時期も多かったり、それこそ家にひきこもって作曲していたり、超売れっ子の演奏家なんかにありがちなのは、どこの国にいっても飛行機、ホテル、演奏会場をピンポイントでいったりきたりしていて、いつも時差ぼけで、移動距離がすごいわりには、日々同じような生活をしているなーみたいなパターン。いろんなところに行けていいなあ〜というほどお気楽ではないんですよね。

 テレビがない時代は映画館に人は集まったし、もっと昔は非日常のお祭りをそれこそみんな楽しみにしていました。結局、仕事をして家族を養って毎日生きていくと、どうしても同じような毎日が続くのはしょうがないことであり、その単調さをいかにまぎらわすというか、楽しいイベントをつくるか、そこが面白いというか難しいというか、ポイントなんだなぁ、と最近は思います。

 こうした観点からみると、音楽が趣味であるというのは、音楽を聴けばすぐに脳内でその音楽の世界にトリップできるので、かなり得なんだなーと気がつきました。
 
 好きな音楽を聴いて、おっとこのピアノの音はめちゃくちゃきれいだとか、この左手のリズム感はいったいなぜこんなにかっこいいのかとか、考えている瞬間は、退屈とはかけ離れたものですから。

 もちろん、テレビや映画というのも、基本的には日々の単調さに刺激を与えてくれるもので、だからこそ人が死んだり暴力があったり、カップルが生まれたり破局があったり、過激なシーンも必要になってくるのでしょうね。

 もちろん私だってテレビや映画も楽しいし大好きですけれど、せりふやストーリーや映像に自分のイマジネーションが限定されてしまう面が確かにあります。

 音楽だと、聴きながら考えることは人によっておそらくものすごくばらばらで自由。そこが音楽のいいところなのかなあ、なんて。