音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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自分の子どもにピアノを教えるのはなぜ難しいのか

3歳半からはじめた娘のピアノレッスン、もうすぐ3年が過ぎようとしています。親がピアノの先生で、子どもに教えるのは難しいとよくいいますが、いや、実際やってみて、確かに難しいです。

よそのお子さんが生徒だと、生徒さんのほうも遠慮して、ビビってますし、緊張がありますから、おりこうにしています。まあ、いま来てくださっている生徒さんは、すごくできがよくて教えるのが楽なお子さんだけなので、ピアノの先生の前だろうと椅子に座っていられないケースだってあるわけなんですけどね。

こちらもよそのお子さんだからと、ことばづかいも丁寧になれば、冷静な対応をしなければと、よそいきモードになります。

でも、自分の子どもだと、つい、言葉遣いもくだけてしまうし、すぐに怒りたくなってしまう。自分が同じ年のころ、いくらなんでも、そうじゃなかったはずとか、自分を基準にして「なんでこうなの」と心のどこかで考えてしまうのです。

自分と子どもは他人である、別人格である、ピアノに対する興味関心は私とは違って当然である、という当たり前のことを、無意識のレベルまで徹底できてないんでしょうね、私自身が。

それに、ピアノに宿題にと家で「やらねばならない」ことが増えてくると、本来ゆっくり休む場であるはずの家庭の役割がなんだか崩れてくる気がします。最後にはよしよししてあげて、子どもを受け止めてあげる役割の母親が、あれをやりなさいこれをやりなさい、これができてないじゃん、早くしなさいよといつも小言をいってばかりで、おじいちゃんおばあちゃんと同居しているわけでもないから、子どもはどこにも逃げ場がなくなってしまいます。

五嶋みどりさんのお母さんがどういうふうにわが子にレッスンしたのかを書いた本があり、レッスンのときは鬼のように厳しく虐待かといわれるほどのすさまじさで、レッスンが終わってからは過保護じゃないのといわれるぐらい甘くしていた記述を読んで、これっておかしくない、変な人間になっちゃわないかなと怖くなりました。

みどりさんのお母さん、節さんの方法にはいまも共感はできないけれど、でも、厳しくした分どこかで甘えさせてあげないと、バランスは絶対にとれないんだなという部分は理解できるようになりました。

アメリカ人の先生で信頼できる人がみつかれば、そちらに任せたいのですが…。お友達で現地の先生に習っている人の様子を聞くと、まずドレミではなくABCで教えているし、ソルフェージュはあまりやっていないようだし、楽譜もあまり読めるようになってないみたい…なまじ私もピアノの先生に関しては目が肥えてしまったもので、この人ならお任せしたいというような素晴らしい先生って、大都会でもないので、簡単に見つからないんですよね。

 結局私が教えるしかないのかなー。そのためにはストレス解消につとめ、忍耐強い対応ができるように心がけるしかないのかなー。ストレス解消といっても、買い物ぐらいしか選択肢がないのがつらいところですが。メセニーやインコグニートやイエロージャケッツのDVDがアメリカだと10−20ドルもあれば買えるので、そのへんのコレクションを増やしてみようかな。