Four Colors
神保彰, フランク・ギャンバレ, エイブラム・ラボリエル, オトマロ・ルイーズ, JB プロジェクト
日本を代表するドラマーの神保彰さんのソロアルバム。
5月に発売されたのでもうだいぶ時間がたってしまいましたが、遅ればせながら入手して1ヶ月ほど前から聴き始め、どっぷりはまってます。
神保さんにはスーパーテクニックを誇るドラマーとしての一面と、とてもポップなメロディ・メイカーとしての一面があります。
従来の神保さんは、作品によってプロジェクトによって、どっちかの面が強く出てくることが多かったように思います。というのも、メロディアスな親しみやすい音楽と、超絶ドラムって、あまり従来の音楽スタイルだと相性がよくないというか、共存が難しかったのではないでしょうか。
「あれ、神保さんのスーパードラムとポップなメロディが共存してる」
と気づいたのは、数年前にジャズライフの取材でワンマンオーケストラの演奏を観にいったときでしょうか。
そしてこのアルバムにいたっては、両方の要素が完璧に融合して、刺激的でカラフル、それでいて鼻歌でメロディを歌いたくなるキャッチーな要素もある素晴らしいバランスが完成しています。
冒頭はいきなり人力ドラムンベースの超絶パターンから殴りこみか!? という勢いで始まり、しかしすぐに4ビートになっちゃったりして。めまぐるしく変化する曲想に振り回されていると、2曲目には海辺のドライブを思わせる超さわやかなアコギとアコピがメロディをとるおだやかなナンバー。
さっきから超絶、超絶という形容を使いまくってますけど、このアルバムはギターに超絶テクニックで有名なフランク・ギャンバレ大先生を起用しています。私、ギャンバレがこんなにさわやかで美しいアコギを弾くなんて不勉強で全然知らなくて、じ〜んと感激。でもさわやかだけじゃ終わらなくて、弾くときは猛然と高速フレーズをスリル満点に弾き倒してくれるんですね。ピアノのオトマロ・ルイーズもそう。神保さんの素晴らしいメロディを歌心満点にしみじみと弾いてくれていて、でも時には派手なソロでじゃんじゃん弾いてくれる。スムースすぎず、小難しすぎず、心地よくも刺激的。みずみずしい音楽なんです。
このメンバーでオークランドのYoshi'sあたりで公演してくれたら、お客さんたくさん入りそうなのになー。
いわゆる「ドラマーのソロアルバム」的なイメージや次元をはるかに超えた世界。私がこれまでに知っていた神保さんのイメージがガラガラと崩れ、このアルバムで完全に新しいイメージができてしまいました。