音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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ディメンションを聴いてはや10年以上

My Rule
My Rule
DIMENSION

ディメンションの新譜が4月に出るんだそうです。

ひさびさにアドリブの編集部から原稿依頼が来たので、今週はずーっと彼らの過去の作品を全部聴き返して原稿を書いていました。

彼らの音楽を知ったのはもう1997年、ニフティサーブパソコン通信、今は亡きジャズフォーラムで。カシオペアとスクェアが好きだと書いていたら「ディメンションがいい」「カツオちゃん最高」「ますやん最高」と連呼する人が結構いたんですね。へ〜と思って買ったのが9thでした。いっぺんで気に入り、サックスの勝田さんに惚れ込んでしまったのです。いや〜ほんとに、当時は勝田さん、勝田さん、勝田さんと夢遊病のような時期があったかも(爆)

それから2年後ぐらいかな? なーんとジャズライフでの初仕事がディメンションのライブレポートでした。なぜかジャズライフではディメンションのライブレポートがすっごく多かった…。そうやって仕事で聴くことも多かったので、東京でのライブひとつ残らずとはいいませんが、ほとんど見てきました。もちろん2006年以降は私がアメリカに来ちゃったので、見ていませんが。私の本棚から「ディメンション」と書いた封筒を出してくると、ライブのセットリストがばらばら出てきました。

インタビューも何度かさせていただいたし、私のライター人生とディメンションの活動はわりとかぶっているのです。

はじめは勝田さん勝田さんと騒いでいた私ですが、ライブに通ううちにだんだん増崎さんのファンになっていきました。勝田さん小野塚さんもむろん大好きですが、なんていうのかな〜とにかく増崎さんのギターに惚れたというか。あの音色、あのプレイを生み出す魂に惚れたというか。どこで何度見ても「素晴らしい」ってうなってしまう。ギターってこんなに素敵な音がするんだっけ、とびっくりする。

カリフォルニアの青空の下で車を飛ばしながらディメンションを聴いていると、この風景とこの音楽が合わないことにびっくりします。なんでこんなに合わないの? ディメンションを聴いていると浮かんでくるのが、六本木や新宿、お台場の夜の風景や、駅のラッシュや通勤電車。

どうしてなのか毎日考えて、結論としては、ディメンションって、いわゆるカリフォルニアスムースジャズと比べると、ものすごく密度が高く刺激が強くスピーディでアグレシッシブなんですねー。ふだん聴いているスムースジャズは、音楽全体がもっとスッカスカで風通しが良い。いや、どっちが良い悪いではないんですよ。

14th「ハーツ」はディメンションなりのスムースジャズと銘打っている作品です。だからこそ、いわゆるスムースジャズ漬けになった今の私が聴くと「ち、違う」とうなってしまう。突っ走っていた13th以前とクールでゆったりしてきたそれ以後ではディメンションの音楽は明確に変貌しています。しかし、変貌後の、彼らの作品のなかでは相対的にまったりゆったりしたアルバムであっても、こっちで聴くと、やっぱり密度が濃いし、良い意味でテンションが異様に高いです。尋常でない音楽への集中力というか。

ディメンションのような刺激に満ちた濃い音楽というのは、超過密大都会の東京で、几帳面で細かくてシャープな感性を持った日本人でなければ作れないだろうな。

新作はitunesでダウンロードできるみたいなので、発売日になったらアメリカでもすぐに聴けそうです。楽しみ楽しみ。