ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
梅田 望夫
やっと入手して読みました。
著者の梅田さんは「ネットの中に住んでいる」んだそうです。
私も、パソコン通信時代から数えると、ネットの中に住み始めて10年たちます。あー、私だけじゃないのかと実感して、ちょっとうれしくなりました。
この本ではさまざまな問題提起がなされています。
みんながブログを書き始めて、その中には素晴らしいブログもときどきある。すると、プロの書き手としては、脅威を感じる。ということを梅田さんはおっしゃってます。
私としては、このへんを読むと、複雑です。
ブログができるずっと以前に、インターネットで書き始め、それがきっかけで、ライターになったのが私なんですから。
私のようなコースをたどる人が出てくるのは、必然というか自然なことだと感じるのです。
そこで、大きなハードルとなった節目がいくつかありました。
●ウェブサイト「cyberfusion」にインタビューを書いた
ウェブマスターの橋さんからある日「インタビューに行きません
か」とメールが届きました。
当時は誰にもインタビューのやり方を教わらず、必死になって
書きました。今見ると、恥ずかしいですが、誰にも指導を受けて
いないにしては、まあまあです。今だったらこうは書かないな、
ということはいっぱいありますが。
●雑誌「教育音楽」から原稿依頼が来た。
→雑誌にはじめて原稿を書きました。
●音楽誌「ジャズライフ」から原稿依頼が来た。
→ズバリ音楽ライターとして原稿を書いた。
(教育音楽も音楽誌なんですけど、いわゆる音楽評論ではないので)
●新潮社からノンフィクション作品を出した。
→これは笠原真澄さんという先輩ライターから、ある日メールが届いた
ことがきっかけでした。
どれも、ほとんど、ある日突然メールが来るとか、電話が来るとか、
そんなふうにして転機はやってきました。
それはどういうことでしょうか。
お話が来たとき対応できるような状態をつくっておいて、それを何らかの形でアピールしていたからなんです。
梅田さんが「プロになった人はなりゆきでなったのである」という内容のことをお書きになっていますが、確かにそうです。なりゆきといえば、なりゆきです。誰かが私に原稿を書かせようと思ってくれたのは、運ですから。
そして、そうした大事な節目のときに、何かじゃまが入ってしまって、その仕事がやりとげられずに、依頼してくれた人に迷惑をかけるようなことになっていたら、その先も全然違ったものになっていたかもしれません。
だから、私自身も、プロだからこうなのよ、といってイバれる根拠があまりないのです。
高校入試の問題に自分の文章を使ってもらったときは、国語の先生のお墨付きをいただいたようで、イバるつもりはないけれど、少々自信になって、うれしかったですけど。
プロになってからの私と知り合った人は、「プロなんだ」という態度で接してくださり、それ以前からの私をリアルで知っている人の場合、友達は「がんばってるねえ」という態度で接してくれて、プロになる前からのネット上の私を知っている人の中には「なんであんなのがプロなの?」とおっしゃる方々もいる。
一番最後のケースは、他人と自分をおきかえてみれば、そう感じるのも、至極もっともなので、どうしようもありません。
この問題は、料理とよく似ています。誰もが日常的に料理している。プロはだしの人は、いくらでもいる。だけど、プロはプロでやっぱりすごくて、職人さんがいくらでもいて、奥が深い。
料理からヒントを得て考えれば、「どんなときでも完璧に仕事を仕上げて、お客さんの期待にこたえる」のがプロかなーという気がします。料理をつくって、どこかちょっとでも気に入らなかったら全部捨てて最初から作り直して、しかもそのやり直しのせいで、お客さんを余計に待たせない、というような。
お料理上手なお母さんは、ちょっとやそっとのことでは、作り直したりしないでしょう。
そういえば料理研究家の藤野真紀子さんは、お菓子の出来が気に入らないと徹夜で何回でもやり直しをしていたそうです。
「どんなときでも完璧に仕事を仕上げて、お客さんの期待にこたえる」。
100パーセントの実現は難しくても、自分の限界までそれを追求して、ある程度の結果を出している人がプロなんじゃないかな、と思っています。
そして話をもう一度最初に戻しますが・・・
ブログは商品でないものが大半です。梅田さんがいろいろな場所でお書きになった原稿を本にまとめたように、商品になれば、話は別なんですが。
やはり、お金を生み出す仕組みがそれなりに絡んでこないと、商品と同程度のクオリティをずーっと維持するのは、難しいのではないかと思います。
まず、読者からの何らかの反応という点で、結果を出せる人かどうかがひとつの境目。
そして、クオリティの維持に全力を注ぎ続けられるかどうかに、もうひとつの境目。
それが、アマチュアとプロの書き手の境目ではないかと思います。
で、私のブログは、・・・更新頻度と内容の濃さはそれなりだと自負していますが、やはりネット上の文章は読み流すことを前提に書いていますので、単行本とは違います。そりゃそうです。少しでもクオリティをあげたいと日々願いつつ、このペースではこれが限界だあ〜というぎりぎりのところです。