音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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メセニー新譜、「対岸の彼女」、エレーヌ・グリモー自伝

毎日のようにメセニーの新譜を聴いています。確かに全部一曲につながっていなければならなかったのだろうけれど、なにか、まだ、いまひとつすっきり消化しきれないものがある。なんだか気になって、また最初から聞きはじめる、そんなことを繰り返しています。理由があって、こういう形式にしたのだろうと思う。音楽的なイメージとしては、「理由」というのも漠然とわからなくもない。でも、それを言葉に全然うまく変換できなくて、気持ち悪いのかもしれません。

直木賞で話題の「対岸の彼女」を読みました。一気に最後まで読んでしまった・・・すごく面白かった。私自身、30代も半ばにさしかかって、結婚したーしていない、子どもがいるーいない、仕事をしているーしていない、といった属性が人によってばらばらになってくる今日この頃。共通の話題を考えるとき、20代のころよりも「えっと・・・」と、気を使うことが増えてきたのも正直なところです。無意識に人を傷つける台詞を言っていないか、怖いのです。そういう意味では、高校生や大学生の頃って、よかったよなあ・・・。いや、べつにそんなセンチメンタルなだけの本じゃないんですけど。

もうひとつ、フランス人ピアニストのエレーヌ・グリモーの自伝「野生のしらべ」もよかったです。彼女は金髪に青い目の女優さんなみの美女。しかもピアノは天才的。だけど自傷行為をしていた時期があったとか、かなりショッキングな内容も。いま狼を飼っているというのも、かなりびっくりですが、読んでいくとなるほど、という感じです。彼女はその美貌がゆえに、男性からの欲望の視線がすごく嫌だったという記述も。確かにそれは嫌だろうなあ。美人には美人の苦しみがあるのだと、改めてため息が出ます。ところでこの本のあとがきに、私がお手伝いした中井正子先生の著書「パリの香り、夢みるピアノ」を参考にした・・・と出てきたので、びっくり。確かに中井先生とエレーヌが卒業したパリ音楽院について、詳しく書いている日本語で読める本って、あまりないのですよね。お役にたててよかったな。