音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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ハウルの動く城

 原稿に煮詰まってしまい、逃避も兼ねて観て来ました。
 タイトルにもあるとおり、ハウルという美青年魔法使いが、巨大な動くお城に住んでいて、主人公のソフィーと繰り広げるお話でした。ハウルの声が木村拓也ということでも話題になっていましたが、白いブラウスに垂れ下がるタイプのイヤリング、ぴったりしたズボンをはいていて、バレエに出てくる王子様そのまんま!! そんな女の子ウケしそうなベタな路線でいいのか!? と思いつつ、この王子様系のハウルが、キムタクの声で、優しげにしゃべったりすると・・・やっぱりいいかも!! 宮崎アニメの定番ともいえるひたむきなヒロイン、風にはためくスカートの裾、町を見下ろして空を飛ぶシーン・・・なぜか、ほっとします。そして「動く城」は、ナウシカに出てくるオームを彷彿とさせ、生き物のような巨大ロボットのような、ものすごい存在感でした。魔法使いとして出てくる美輪明宏さんの声もよかったなあー。
 私は宮崎アニメだと、「ナウシカ」、「紅の豚」、「ラピュタ」が好きなのですが、今回の「ハウルの動く城」も好きな部類です。ものごころついたばかりの頃、

なんとなくそのうち空は飛べるような気がしていたし、どこかに魔法使いや王子様はいるような気がしていました。でも、そんなものは、どこにもなく、空は永久に飛べないのだと悟って現在に至るわけです(・・・あたりまえ)。「そんなものは存在しない」という事実だけがふくれあがり、いつのまにか、空を飛べるような、王子様や魔法使いがどこかにいるような感覚さえ、忘れてしまっていました。でも、この映画を見ていたら、町並みや人物の造形にとてもリアリティがあって、現実であるかのように認識させておきながら、ふっと非現実の世界が紛れ込んでくる。映画を見ている時間、その世界にひたっているあいだは、空って飛べるような気になっている。それが何になるのか・・・きっと、それこそが海外旅行に行かなくとも、お手軽にできる素晴らしい現実逃避であり、人間にとって必要なものなんだ。などと考えました。