音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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小曽根真ザ・トリオ@ブルーノート東京

 新作「新世界」をひっさげてのブルーノートツアー。火曜日の1stに行ってきましたが、会場はお客さんで満杯!! この日が週のなかで一番空いていたはずなのですが・・・相変わらず小曽根さん人気はすごい!
 ストリングス・カルテットには、塩谷哲さんともよく共演している金子飛鳥さんのお名前がありました。セカンドヴァイオリン、ビオラ、チェロは他にはクラシックのオーケストラで活躍されている方々です。
 CDでは体験ずみだけれど、小曽根さんのトリオにストリングスって、いったいどんな音になるのだろう? と思っていましたが、聴いてみればすんなりはまっていました。ピアノ・トリオだと、ハーモニーはピアニストの左手が主に担当しているわけです。特に、ザ・トリオは、リズム感のはじけ具合が際立っていたので、弦カルを入れて、一気にハーモニーの密度があがって、なんかこれはこれでちょうどいい感じ。
 なんといってもこの日のメインは、新作のハイライトの組曲「夜の子供部屋」でしょう。MCのときには次々に笑いをとる関西人の小曽根さんですが、演奏のときにはステージの上に、そこはかとない緊張感が漂っていました。曲のほうはかなり不協和音バリバリなんだけど、そこが難解にならず、面白い刺激になっているところが、さすが。
 それにしても、小曽根さん、またピアノがうまくなっている・・・絶句。とくに目立ったのはアドリブの中に出てきた「音階」の美しさでした。ほんとに、なんの変哲もないスケールを、わりと多めに取り入れていたのです。ジュ・ペルレといって真珠を転がすようなタッチ、というのがクラシックの世界にあるのですが、小曽根さんのスケールは、ルビーとかエメラルドをごろごろって無造作に転がしたようなイメージ。(でも宝石の大きさは全部一緒!)要するにジャズ的な立ち上がりのあるタッチで、ものすごくピアノをきれいに鳴らして、おそろしくシャープなリズム感で音階を弾くと、ああなるんだろうなあ。長いことピアノを弾いたり聴いたりしてきましたが、何の変哲もない音階にあれだけ衝撃を受けたのは初めてでした。おそるべし、小曽根さん。それと、ドラマーのクラレンスの曲「ボレロ」…これ、アルバムに入っていたときに、なんて素敵なメロディにハーモニーなんだろう!! って感激したので、演奏してくれてうれしかったです。