音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

セミナースケジュールはこちらです。 山本美芽オフィシャルサイト

キャンティ物語を読み直し

先日、日記のなかでふれた「キャンティ物語」。発売されたときには
図書館で読んで、それっきりだったのですが、文庫が出ているのを知って
改めて購入、いま読み直しています。

この本には、原智恵子のことはさほど出てこなくて、最初に結婚した
川添さん、そして原智恵子のあとに川添さんと結婚した梶子さんを
めぐるストーリーが主になっています。

以前読んだときは、私はまだ学生気分の年代で、
「ひえ〜、六本木に有名人文化人の集まるお洒落なレストランがあった
のか…私には遠い遠いきらびやかな世界だなあ」とため息が出る
ばかりでした。
今になってみると、そうやって圧倒されていたときには見えなかった
ものが少し見えてきたような気がします。

たとえば、「キャンティ」のコックさんたちに本場のイタリア料理を
教えたのは、イタリアに9年暮らしていた梶子さん自身だった、という
一節があったりして。これって凄いことだよねぇ…と感心してしまったり。
あとがきに、幻冬社の社長をしている名編集者、見城徹さんの一文があって
彼も「キャンティ」に通っていたこと、それもあって、この本が
幻冬社から出ていること。
そして、発売から10年近くたって読み直しても、新たな発見がある
この本を書くにあたって、著者のノンフィクション作家の野地さんは
6年をかけていた、ということ。確かに、何十人もの有名人や、登場
人物にゆかりのある人を訪ね歩いて取材されているので、これは
一年やそこらで簡単にできるものじゃありません。
私自身、いま書いている「チェルニーを最小限ですませる方法」も
既に足かけ6年。やっと目次が固まり、全貌が見えて、主張したいことが
決まり、あとはそれをどう組み立てるかというところまで来ましたが、
まだ仕上げるまでにはかかりそうなんだよなあ…。
ここのところ、短気な私は、これまでの道のりの長さと、この先の長さに
メゲそうになっていたのですが、
この本が6年かかったというのを読んで、なんだか励まされました。
そりゃ、一年に何冊もバリバリ出す作家さんはいっぱいいる。
だけど、何年もかからないと書けない本もあるんだー!!
さ、原稿書きしよっと。