音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

セミナースケジュールはこちらです。 山本美芽オフィシャルサイト

小曽根真さんの弾く、バーンスタイン「不安の時代」1

小曽根真さんが新日本フィルと共演したバーンスタイン交響曲「不安の時代」を
聴いてきました。

バーンスタインといえば、ウエストサイド物語ぐらいしかCD持ってないんですよね。実は、先日取材と称して、小曽根さんがコンサート前にリハーサルをしている様子を聴かせていただいたのですが、そのときに、最初はハノンに似た指ならし、次にエチュード、そして練習していたのが、バーンスタインのこの曲でした。

練習を聴いて私は飛び上がるほどびっくりしたのですが・・・
「なんだこりゃ・・・。リストとシェーンベルクを足して2で割って、さらにジャズっぽく味付けしてあ、みたいな・・・」

 要するに、オクターブやら和音やら、手に負担のかかるフレーズが、気が狂いそうなくらいばんばん出てきて(しかも高速)、不協和音の「不協」ぶりは、ほとんどシェーンベルクあたりの現代音楽なみ。譜読みも、暗譜も、弾くのも、とんでもなく大変そう。その時の印象では、正直ラプソディ・イン・ブルーあたりと比較しても、ワンランクも2ランクも敷居が高い曲のように思えました。

そういうわけで、2DAYSの初日だし、オケと共演だし、緊張感いっぱいのステージになるかな・・。とドキドキしながら、開演を待っていました。

燕尾服を着た小曽根さんが、指揮者の井上さんと登場します。
ん〜?? 3階で見ているからか、なんだか、全然緊張してないみたいなんだけど。
曲が始まると、・・・・「なんだこりゃ!!」と度肝を抜かれたときとは、
なんだかイメージが違っていました。

ジャズピアニストがオケと共演というと、
もっと浮いた(目立つ)感じになるかと予想していたのに、
なんだかすごくしっくりオケに溶けこんじゃっているのです。
う〜む、恐れ入りました。

オーケストラがみんなで気が遠くなりそうな超絶フレーズやら不協和音を出していて、それとアンサンブルするっていう感じでピアノもそういうことをやっているっていう感じでした。

聴きながらいつしか、「難しそう」と思っていた不協和音に超絶フレーズという要素は、バーンスタインの心の中に渦巻いていた「不安」を伝えるようになっていました。