聴いていると、思い浮かんでくるのです。
自分がしめ切り直前になって、一番苦しいとき、タイトルなんかを考えていて出てこないとき、どうしていいかわからないとき、そういうときの
「どうしたらいいんだ!!!」っていう、あの絶望的な気持ちの渦が、この曲を聴いていると、よみがえってくるのです。
バーンスタインみたいな偉大な人も、やっぱり同じように、ドツボにはまって、
「どうしよう〜(涙)」みたいなことが、いっぱいあったんだろうな、と、なんだか妙に確信してしまったのですね。
もちろん、ドツボにはまりっぱなしじゃなくて、前向きに切り抜けたのでしょうけれども。
時々、背筋が凍りそうに美しい弦楽器の音、管楽器の音が出てくるんです。これがまるで、何かをやりとげようとしたときに、ほとんど苦労ばっかりで、だけど突然うれしいことや、きれいな景色に出会ったりしたときみたいでした。
この曲のピアノパートは、演奏会でバーンスタイン自身が弾いていたそうなんです。
オケの真ん中で、すごくややこしいはずの曲を、とってもしっくりとアンサンブルしながら弾く小曽根さんを見ながら、バーンスタインって、すごいピアニストですごい作曲家だったんだなあと改めて思いました。
でも、すごい人であると同時に、彼もやっぱり人間だったんだなあ、って。
楽しい、キレイ、美しい・・・というだけじゃない音楽。
そこから何かをずっしりと受け取ったようなコンサートでした。