音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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出版社で打ち合わせ(3)

 この日打ち合わせした出版社の人は、私のそういう
「自分は何かになれるんじゃないか」って苦しんでいるところが、
書くエネルギーになるんじゃないか、みたいなことを言ってくれたのです。

 家に帰ってご飯を食べているときに、その言葉を思い出したら、なんだか涙が止まらなくなりました。
その人とはじめての打ち合わせに行くときに、少しでも印象良くなりたい、できることはなんでもやりたいと思って、
何を着ていくか3日間悩みました。
打ち合わせ当日なんて朝から昼まで洋服を着たり脱いだり着たり脱いだり、何時間もやっていました。
初めて会う人に、どんな人間に見えるかわからないのですから、それはもう真剣でした。

いつもは時間ギリギリに走っていることが多い私が、打ち合わせの1時間前に会社の近くまで行き、
場所を確認してから喫茶店で時間をつぶしていました。
それぐらい、「何かになりたい」と追いつめられていました。
超・ダメもとでも、思いつく限りできることを全部やって全力でがんばっていた自分がいました。

 そのときの気持ちは、思い出せば思い出すほど自分でも痛々しくて。
でも、自分は本当に「何かになれる」のかもしれないから、
もうあんな追いつめられた気分を味わわなくていいのかもしれないと思ったり。
嬉しかったのか、辛かったなあと今になって思ったのか、なんでだか良くわからないのですけど、
とにかく私は30分間泣き続け、鼻をかみ続け、大きなゴミ箱がティッシュの海になってしまいました。